【ナレーター】
プラスチック廃棄物による環境汚染が世界的な課題となる中、革新的なソリューションで注目を集める「株式会社グリーンイノベーション」。植物由来の生分解性素材を開発し、環境に優しいパッケージング材料を提供する同社は、創業わずか6年で従業員数85名、累計資金調達額15億円を達成した急成長スタートアップだ。

代表取締役CEOの佐藤拓也氏は、現在32歳。大学在学中にプラスチック問題に関心を持ち、24歳で起業を決意した。「環境問題をビジネスで解決する」という明確なビジョンのもと、独自の新素材で特許を取得し、大手食品メーカーとの提携により事業を急拡大させてきた。

環境とビジネスの両立は可能なのか。若き起業家が挑む、持続可能な社会の実現に向けた挑戦に迫る。
【ナレーター】
佐藤氏が環境問題に強い関心を持つようになったのは、大学2年生のとき。海洋学を専攻していた佐藤氏は、ゼミの研修で訪れた海岸で、大量のプラスチックゴミを目の当たりにする。この衝撃的な体験が、起業への第一歩となった。
【佐藤】
研修で訪れた海岸は、想像以上にひどい状態でした。砂浜のあちこちにプラスチックボトル、レジ袋、食品容器が散乱している。波打ち際には細かく砕けたマイクロプラスチックが無数に混じっていて、まるで砂がプラスチックに変わってしまったようでした。

その日、指導教授が「年間800万トン以上のプラスチックゴミが海に流れ込んでいる。このままでは2050年には、海のプラスチックゴミが魚の量を上回る」という話をされました。衝撃を受けると同時に、「これは解決しなければならない問題だ」と強く感じたんです。

その後、プラスチック問題について徹底的に調べました。問題は分かっている。でも、プラスチックは便利で安価だから使い続けられている。だったら、プラスチックに代わる、環境に優しくて実用的な素材を開発すればいい。それが解決策だと考えました。
海洋プラスチック問題

環境問題への強い使命感が起業の原動力に

【ナレーター】
大学3年生の時、佐藤氏は大学の研究室で植物由来の生分解性素材の研究を始める。そして4年生になると、研究成果をもとに学生起業を決意。24歳という若さで、グリーンイノベーションを設立した。
【佐藤】
大学の研究室で、バイオマス素材の研究に没頭しました。トウモロコシやサトウキビなどの植物から取れるデンプンやセルロースを使って、プラスチックに代わる素材を開発する。理論的には可能でも、実用化するには多くの課題がありました。

特に難しかったのは、強度と柔軟性の両立、そしてコストの問題です。環境に優しくても、プラスチックの3倍の価格では企業は採用してくれません。試行錯誤を重ね、ついに実用レベルの素材を開発できたとき、「これは事業化できる」と確信しました。

周囲からは「学生起業は早すぎる」「まず就職してから」という声もありましたが、私には待つ理由がありませんでした。環境問題は日々悪化している。一日でも早く、実用化して社会に貢献したい。その思いで、大学4年の冬に会社を設立しました。
【ナレーター】
しかし、学生起業の道は平坦ではなかった。資金調達の困難、技術の実用化、そして何より、既存のプラスチック産業という巨大な壁。佐藤氏は、持ち前の情熱と粘り強さで、一つひとつ課題をクリアしていく。
【佐藤】
創業当初は本当に大変でした。まず、資金がない。学生起業なので貯金もわずか。ビジネスプランコンテストに出場して賞金を獲得したり、大学のインキュベーション施設を利用したり、できる限りのことをしました。

転機となったのは、開発した素材で特許を取得できたことです。これにより、ベンチャーキャピタルからの投資を受けることができ、本格的な量産体制を整えることができました。

でも、最大の課題は顧客開拓でした。大手企業に営業に行っても、「学生が作った素材なんて信用できない」と門前払い。何十社も断られ続けました。それでも諦めずに、サンプルを持って営業を続けました。私たちの素材の優位性を、データと情熱で伝え続けたんです。
研究開発の様子

独自の植物由来素材の研究開発に注力

【ナレーター】
創業3年目、ついに大手食品メーカーからの引き合いが来る。環境配慮型パッケージの開発を検討していた同社が、佐藤氏の素材に注目。共同開発プロジェクトが始まり、これが事業拡大の大きな転機となった。
【佐藤】
大手食品メーカーのA社から連絡をいただいたときは、本当に嬉しかったですね。A社は、自社製品のパッケージを環境に優しい素材に切り替えることを検討していて、私たちの素材が候補に挙がったと。

共同開発では、食品の保存性を保ちながら、完全に生分解可能な素材を開発しました。技術的に非常に難しい挑戦でしたが、A社の技術者の方々と協力し、ついに商品化に成功しました。

この成功が大きな実績となり、他の企業からも問い合わせが殺到しました。現在では、食品メーカー、飲料メーカー、コンビニチェーンなど、30社以上と取引しています。年間で生産する素材は、従来のプラスチック容器に換算すると約5000万個分。これだけの環境負荷削減に貢献できていることに、大きなやりがいを感じています。
【ナレーター】
グリーンイノベーションの事業は、まさにSDGs(持続可能な開発目標)の実現そのものだ。環境問題の解決と経済成長の両立。多くの企業が課題としているテーマに、佐藤氏はどう向き合っているのか。
【佐藤】
よく「環境保護とビジネスは両立するのか」と聞かれますが、私は「両立させなければならない」と考えています。環境問題は待ったなしの課題です。でも、ボランティアや善意だけでは解決できません。持続的に取り組むには、ビジネスとして成立させる必要がある。

私たちのビジネスモデルは、環境負荷削減とコスト削減の両方を実現しています。私たちの素材は、廃棄コストを大幅に削減できる。焼却処理や埋め立ての必要がなく、自然分解されるからです。企業にとっても、環境にとっても、win-winの関係を構築できるんです。

また、SDGsへの取り組みは、企業価値の向上にもつながります。環境に配慮した企業は、消費者からも投資家からも高く評価される時代です。私たちは、クライアント企業のSDGs達成を支援することで、社会全体の持続可能性向上に貢献しています。
SDGsのイメージ

環境問題の解決と経済成長の両立を目指す

【ナレーター】
国内での成功を足がかりに、佐藤氏は世界展開を見据えている。プラスチック問題は日本だけの問題ではない。グローバルな課題に、グローバルなソリューションで挑む。佐藤氏が描く未来のビジョンとは。
【佐藤】
今後3年以内に、アジア市場への本格進出を計画しています。特に、東南アジアでは経済成長とともにプラスチック廃棄物が急増しており、深刻な環境問題となっています。私たちの技術で、この問題の解決に貢献したいと考えています。

すでにシンガポールとタイの企業と提携交渉を進めており、来年には現地生産を開始する予定です。将来的には、欧米市場への展開も視野に入れています。

また、技術開発も継続して進めています。現在開発中の第2世代素材は、さらに高い強度と、より低いコストを実現します。これが完成すれば、プラスチックの代替素材として、あらゆる用途に使えるようになります。

私の最終的な目標は、「プラスチックのない世界を実現する」ことです。大きな夢ですが、実現可能だと信じています。私たちの世代が環境問題を解決しなければ、次の世代に大きな負担を残すことになる。その責任を果たすために、これからも走り続けます。
【ナレーター】
最後に、佐藤氏に、これから起業を考えている若い世代へのメッセージを聞いた。32歳という若さで、社会課題の解決に挑む起業家が伝えたいこととは。
【佐藤】
これから起業を考えている方に伝えたいのは、「社会課題にこそ、ビジネスチャンスがある」ということです。世の中には解決されていない課題がたくさんあります。それを解決できるソリューションを提供できれば、必ず需要があります。

私自身、学生時代に起業するのは不安でした。経験もお金もコネもない。でも、「これを解決したい」という情熱と、「絶対に実現できる」という信念があれば、道は開けます。実際、多くの方が応援してくれました。

もう一つ大切なのは、「長期的視点を持つ」ことです。社会課題の解決には時間がかかります。短期的な利益を追い求めるのではなく、10年後、20年後にどんな価値を生み出せるかを考えてください。

最後に、年齢は関係ありません。「まだ若いから」「経験がないから」と躊躇する必要はありません。若さゆえの柔軟性と行動力は、大きな武器になります。思い立ったら、今すぐ行動してください。世界は、あなたのアイデアを待っています。

企業情報

会社名
株式会社グリーンイノベーション
代表者
代表取締役CEO 佐藤 拓也
設立
2019年12月
従業員数
85名
累計調達額
15億円
事業内容
サステナブル素材開発・製造
主要製品
植物由来生分解性パッケージ素材
取引企業数
30社以上
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